♯2


生徒会、なんて私には縁のない組織だと思っていたし、その選挙だって同様だ。

まさか自分が関わることになるなんて、少し前の私なら夢に出たとしても目が覚めたらきれいさっぱり忘れ去っているレベル。

……そんな私が、あの、一番かかわりたくなかったはずの速水くんと一緒に、選挙活動をすることになるなんて。

一体誰が予想できただろう。



「しかも信任投票じゃないとか」

「あんたは本当にアホだね。そりゃあ、俺が立候補する前から立候補しようとしてるヤツくらいいるに決まってるでしょ」


私が半ば無理やり速水くんの推薦人にさせられてから数日が経った今日。

生徒会役員選挙の立候補が締め切られ、立候補者の名前がずらりと並んだ名簿が校舎内の掲示板に貼り出された。

放課後、それを速水くんとふたりで眺めながら、ぽつりと呟いた私のひとりごとに、速水くんはいつもどおりの切れ味鋭いコメントを差し込んでくる。

……私、何回速水くんにアホ呼ばわりされてるんだろ。