(あれ、もーこんな時間?マズイなぁ、あと一本ついてくんないと今日のお給料みじめだわ)

和室でテレビを見ていたあたしは、ふとケータイをとりあげると、今日の出勤予定時間が終わるのにそう長くはかからないことに気が付いた。
(90分…は、いいや、面倒くさいし。誰か60分あたりでついてくんないかなー)
祈るような気持ちを込めて、ケータイを掌の中で持て遊ぶ。意味無く開け閉めしたり、掌から掌へ転がしてみたり。
メールする相手がいない訳ではないが、あたしは意味もなく唐突にそれを送る習慣をもたない。第一、電池がもったいない。
(乾電池の充電器、やっぱり買おうかな…あーでももったいない。どうせゲームするかネットに繋ぐだけじゃん。)

<もったいない>

またそんな考えをする自分がおかしくて苦笑いの顔になる。だって今のあたしは風俗嬢だ。けして美人じゃない(むしろブスのグループに入れられるほうだ)けど、そこそこ指名もとれてる。同い年の平均的なオンナノコたちより、よっぽど自由に使えるお金を稼いでるっていうのに。


――そう、あたしは風俗嬢だ。