私は中で目が覚めて、横を見た。
横には愛しくて、手放したくない彼がいた。

「……ん。心愛、起きてたのか。」

「あ、うん。目が覚めちゃって……。」

「そっか。どした?」

「ねぇ、伶斗。屋上行きたい。」

「え?屋上?」

「うん、夜空が見たい。」

「わかった。じゃあ、俺につかまって。」

私は、伶斗の腰につかまった。伶斗、ごめんね。
いつもわたしのこと支えてくれて守ってくれて。思わず泣きそうになった。
こんな自分、もう嫌だと何回も思った。でも伶斗や夕里、お母さんに
支えられて今も生きてる。

20分かしてやっと屋上に着いた。本当に綺麗、真っ暗の中キラキラ光る星が
希望のように見える。

「……綺麗。」

「あぁ、そうだな。なぁ、心愛。」

「ん?なぁに?伶斗……。」

伶斗に呼ばれて振り返った瞬間、私の唇に伶斗の唇が触れた。

「っ…!」

「はは笑、心愛可愛い。」

「もうっ、伶斗~笑」

「いいじゃん、付き合って最初にしかしてなかったんだし。それに……。」

私は、この先何言われるのか見当がついてた。伶斗の顔が少し悲しそうな目を
していた。そんな顔しないで、私はちゃんと今も生きてるのだから。

「伶斗、あのね。夜空ってね朝になると青くて気分もいいの。だから伶斗、笑って。」

「……心愛。」

「伶斗らしくないよ。いつも私の前で笑ってくれてる伶斗が好きなの。」

「……。」

私は、伶斗の手を両手で包み込んで、願った。どうか私が居なくなっても
伶斗は笑顔で笑って優しい奥さんと子供とで幸せになって欲しい。