君の第一印象。『いちいち突っ掛かってくる面倒なひと』
面倒な君に、私は振り回されてばっかだったよ。


「ねぇ、同じクラスになれるかな?」親友の美姫。
「だといいな~。ね、南部のコとうまくやっていけるかな」こっちは私。水野うさぎ、今日から中学一年生。
「うさぎなら大丈夫だ♪」
「だといいけど…。」


クラス分けの表を見る。
「やった。」声がハモる。
同じタイミング。どうやら美姫もクラスが同じことに気づいたみたい。
ふと、美姫を見た。遠くでまだ表を見ているらしい。
…あれ?今の声、美姫じゃない…。じゃあ誰だろう? 振り向くとそこには、とても背の高い男の人が立っていた。

目があってしまった。よく見るときれいな顔をしている。なんだか恥ずかしくなり、美姫のもとへ走った。
「だ~れ探してるの?」
「あぁうさぎ。ねーうちなん組?見つかんないんだけど~。」
「あのね、私があそこで、美姫があそこ!」
「はぁ?口で言われてもわからんし~!」イライラしているようで、どんどん口調が荒くなる。
仕方ないので私は真下まで行って「ここと、ここ!」とぴょんぴょんと飛んで指差した。
でも背が低くて届かない。周りのコも、クスクス笑い始めた。恥ずかしくなってきた。うしろ、振り向けないよ。
そんな中で飛び抜けて大きな笑い声が聞こえた。
「ぶはっ!お前、小さ過ぎだろ」
思わず振り向いてしまった。あっ。…さっきの男のコだ。顔を真っ赤にして、お腹を抱えて笑っている。
「はぁ、はぁ…。ねぇ…名前、なんて言うの?」
「えっ!?み、水野。水野うさぎだけど。」反射的に名乗ってしまう。
「分かった。ここな♪」彼は私の名前を指さした。普通に届いている。おもいっきりバカにしてる…。

「ちなみに俺は、ここだからな!」彼の指の先には、『愛真亮太』の文字が。
「えっとぉ…あいまりょうた?」
「ぶっ。ちびうさはちっこいだけじゃなくて頭も悪いんだな!」
「ちびうさって?」
「水野うさぎ=ちびのうさぎ。ちびうさだろ?」
「ただの悪口じゃん!」
あれ?いつの間にか、タメ口になってる?私、人見知り激しい方なのに。

「俺の名前はめぐま!めぐまりょうた!」
「めぐまりょうた。ぷっ!かわいー名前♪」意外にもかわいい名前に思わず吹き出してしまった。
「お前それゆうな!」彼はどんどん顔が赤くなり、こっちに向かって怒った。
「…そういえば、愛真もおんなじクラスなの?」
「おう!てゆーか亮太でいいよ♪」
「あの。りょう…」
「亮太~♪」
行きなり私を押し退けて、会話を中断させたのは、長い髪を後ろで束ねた亮太よりも少し背の低いくらいの目のぱっちりした可愛い女のコ。
「あっ。亮太の彼女です!」
「ばーか。ちびうさ、こいつは幼馴染みの相川菜々花。彼女なんかじゃねぇよ。」
「亮太ひどぉい!
…で?あなたの名前は?」
「あっ。水野うさぎです。」
「へ~。あなたがりょうたの…」
「あっ。いや、なんでもねぇから!」亮太はそう言いながら菜々花の口に手を当てた。