「そうなんだ!」
「その人ってね、」
え!言うの!やめて、
やめて、
心の中の自分が
足を全く違うほう向かせた
「ごめんーお母さんからメール
来て帰らないとなんだ」
「そう、」
「じゃあごめん」
涙目じゃイチョウが綺麗に見えない
心がキュって痛くなる
「真結花先輩?」
「叶くん、」
泣いてる姿なんて後輩に見せるもんじゃないことぐらいわかってたけど
思いは初めて溢れた
「叶く、」
叶くんに抱きしめられた
自分よりちっさいと思ってたのに
身長も体も私より全然大きかった
叶くんは何も言わず何も聞かず
私の隣にいてくれた
「ごめんね、」
「いや。僕がとなりにいたいだけなんで、」
「え、」
「入学ん時から
ずっとすきでした、
先輩、僕じゃダメですか?」

