知らず知らずのうちに、私が翔君のことを好きということがクラス中に広まっていた。
「梨々夏」
私の名前を呼んでる、この声は…!
「海斗‼︎」
この声を聞くと落ち着く。
なんかホッとする。
「お前、翔のこと好きなのかよ」
ニヤニヤしながら聞いてくる。
男子もうるさいな。
「…はぁ?そんなわけないじゃん」
自慢にもならないけど、私は嘘が上手だと思う。
「嘘だな。俺にはわかるんだよ。お前、嘘つくとき瞬きの回数少しだけ多くなるし。」
笑いながら言う海斗。
何にも考えてなさそうで、人のいろいろなところを見てる。
「嘘じゃないもん!」
「もう一回聞くぞ?翔のこと好きなのか?」
顔が近い。
胸が高鳴る。
「…っ…だから違うって言ってるでしょ!」
恋じゃない恋じゃない恋じゃない。
これは恋じゃない。
「そーしといてやるか」
デコピン。
女子だからって私には容赦なし。
あー、ヒリヒリする。