椿姫と乙姫 【GL 】


澪は、女の腕に抱かれた。

その感触に目を開いた。

紺碧の海の中で、ひらひらと羽衣がたゆたっていた。

そして、顔を上げれば白い顔。

高貴な人だ、と知りもしないのに、知らないからこそわかった。

反りおとした眉に、目には隈取り。
桜色の薄い唇。

「おや、まあ」

と彼女は澪と顔を合わせ、そうしておもしろそうに唇を歪めた。