小さな天使の魔法の言葉ーあなたに贈るラストプレゼントー

ガソリンスタンドに着いて、一番手前が開いていたから何の迷いもなくそこに車を停めた。

財布から三千円取り出し、車のドアを開ける。

外に出てドアを閉めようとした、その時だった。


『キャー!!』


女の人の悲鳴が聞こえる。

店員さんや他のお客さんが、私の後ろを指差しているのに気付き、私は慌てて振り返った……









ビックリした!!

思わず目つぶっちゃったけど、よかった……

私、生きてる。




目を開けると、猛スピードで突っ込んできた車が、私の車をペシャンコにつぶしていた。

恐ろしい光景なのに、手も足も震えていない。

私はただ、ジッとその光景を見ていた。

しばらくすると、救急車やパトカーでガソリンスタンドがいっぱいになっていた。

追突した運転手が助け出されて、救急車に乗せられている。

もし、後ろに琴美を乗せていたら……

そう思うと、恐くて仕方がなかった。

私も、警察に事情を聞かれたりするのかな?

帰るの、少し遅くなりそうだな。

そう思ってしばらく待っていたけど、なかなか私の所へ話を聞きにこない。

近くで見ていた店員さんに話を聞く前に、まず私でしょ?

それ、私の車なんだから!

少し文句を言ってやろうと、車に近づいた、その時……

大きな音とともに、私の車から追突した車が持ち上げられた。



その光景を見て、愕然とする。



だって、そこに私がいる……



救急隊の人が必死になって私を抱きかかえ、大きな声で声をかけながら救急車に乗せている。

じゃあ私は……何?

改めて自分を見ると、体は半透明で青白く光っていた。

これって幽霊って事?

つまり、死んだって事なの?

ちょっと待ってよ、人の終わりってこんなにあっけないものなの?