小さな天使の魔法の言葉ーあなたに贈るラストプレゼントー

『真子!?』


『背中……背中痛い!』


どんどん痛む時間も長くなり、間隔も正確になっていく。

こんなに痛いのに、なかなか8分から縮まらなかった。

陣痛がくるたびに耕平は、手の皮がむけそうなくらい強い力で私の背中をさすってくれている。

優しい力じゃ痛みが和らがない、そんな所まできていた。


『やっと、7分になったよ……』


夜の10時、私は急いで病院に電話をした。

すぐさま車で病院に向かう、その最中も激痛が私を襲ってくる。

病院に着き、陣痛の合間に入院の手続きしてからベッドに横になった。

間隔がさらに縮まっていき、痛みのない時間が減っていく。

今まではただ痛みに耐えるだけだったけど、何だか変な感じがして助産師さんを呼んだ。


『いき……みたい。』


『子宮口見てみようか?……うん、開いてきてるよ!じゃあ、分娩室まで歩いて行こうか。』


歩くんですかー!?

も、もう、赤ちゃん出そうなんですけど?

分娩室のベッドに仰向けになり、いよいよ出産!

陣痛の波と、助産師さんのかけ声と同時に、今ある力を振り絞るようにいきんだ。


『ほら、赤ちゃん降りてきてるよ!いきんで!!』


もう、陣痛の痛みが痛いと感じない。

ただ必死に、あなたの誕生を願っていきんだ。

分娩室に入って五時間、陣痛がなぜか微弱になっていく。

私もう、頑張れないよ……

もう、お腹切って出してあげて?

もう……無理だよ……