小さな天使の魔法の言葉ーあなたに贈るラストプレゼントー

すっかり自信をなくした耕平。

今しかないよね!


『琴美!パパのほっぺ、パチパチして?』


私がそう言うと、琴美はイスから立ち上がり、耕平の頬をパチパチと叩いた。


『琴美、パパの名前は?』


『コーヘイ!』


急に自分の名前を呼ばれたものだから、耕平はビックリして固まっていた。


『ほら、笑って!』


『ほーあー、わって!』


あ、惜しい!でも、分かる範囲だよ!


『琴美、もう一回!ほら、笑って!』





『ほら、わらって!』





言えた!しかも完璧じゃないのー!!

ママ涙出そう!


『琴美……?』


でも、涙が出たのは私ではなく……


『ママの口癖……?』


耕平だった。


『ママの口癖、覚えてたのか?そっか……パパ、情けないな。ママがいたらしっかりしろって怒られちゃうな。琴美にそんな事言わせて……ゴメン……』


耕平は優しく、琴美を抱きしめた。


『琴美!やったね!』


『やったー!』


私の元へと走って来た琴美は、私の周りをクルクルと回っていた。

少しだけ前向きになったかに見えた耕平だけど、相変わらず笑顔はない。

どうしたら前みたいに笑ってくれるのかな?

あの優しい笑顔を見られたら……

私はきっと、悔いなく……



旅立てると思うんだ。