小さな天使の魔法の言葉ーあなたに贈るラストプレゼントー

四十九日まで後十日。

耕平は仕事に行きながらも、朝だけは琴美の食事の用意を頑張っていた。

夜はお母さんがご飯を用意してくれているから、耕平も一緒に食べて帰ってから一緒にお風呂に入って寝るという、そんな毎日。

仕事に子育てにと忙しすぎて、いっぱいいっぱいなんだろう。

ベッドに横になると、琴美と一緒にすぐに眠ってしまった。

あの日から耕平は、弱音を吐いていない。

でも口にしないだけで、今日もまた……

閉じた目から静かに涙が流れていた。


『真子……会いたいよ……』


寝言?

目を閉じたままの耕平。

私は、横になっている耕平の頬にそっと手をかざした。

私ずっと、そばにいるんだよ?

見えなくてもそばにいるって、感じない?


『あったかい……』


耕平はそう言うと、静かに目を開ける。


『夢かな……真子が見える。』


み、見える!?

耕平は、頬に乗せた私の手に自分の手を重ねた。


『真子……俺もそっちに行きたい、迎えに来てくれたんだよな?』


バカ……


『真子?何で泣いてるんだよ?もうずっと一緒に……いられるんだから。』


バカだよ……

そんな事言っても嬉しくないの。

ずっと一緒になんて、嬉しく……

嬉しくないんだよー!!

気持ちとは裏腹に、耕平の優しい言葉が余計に切なくて、涙が止まらなかった。

私は手を離し、寝室から出ようとした。


『真子……消えた……やっぱり夢……か。』


寝ぼけていたのかもしれない、夢の中だと思っていたのかもしれない。

それでも私は……

耕平の優しい言葉に嬉しいと思ってしまった。

愛する人に見つめられる事を、幸せだと思ってしまった。

私がこの世に未練を残しては、いけないと分かっているのに……