小さな天使の魔法の言葉ーあなたに贈るラストプレゼントー

あの日から、琴美に言葉を教えつつ私は物を触る練習をした。

琴美の小さな手に私の手を重ねるように乗せ、少しの間だけど手を繋ぐ事も出来た。


『出来た……出来たね?おてて繋げたね?』


私がそう言うと、


『でっきたー!!』


っと嬉しそうに走り回る。

そのたびに耕平は、


『出来た?何出来たの?』


『て!』


『手?手で何出来たの?』


『て!でっきたー!』


そんなやり取りを繰り返していた。

ごめん耕平、今は意味が分からないと思うけど、いつか分かる時が来るから!


『パパ、明日からお仕事だから、おばあちゃんの家でいい子にしてるんだよ?』


みんなで話し合った結果、琴美が幼稚園に入るまでは私のお母さんが面倒を見てくれる事になった。

もちろん、耕平のご両親もいつでもおいでと言ってくれている。

耕平の実家は少し遠いんだけど、そう言ってくれるだけで耕平もホッとした顔をしていた。

みんな助けてくれる、みんなで頑張ろうって言ってくれてる、だから耕平?

しっかりしなきゃ、パパなんだから、ね?