小さな天使の魔法の言葉ーあなたに贈るラストプレゼントー

『なあ琴美、この先ママがいなくて、やっていけるのかな?』


琴美の隣に横になった耕平は、優しく頭をなでながらそうつぶやいた。

琴美を見る目は優しい目をしている。

愛情がいっぱいの、私が大好きな目をしている。


『パパ、ママがいなかったら生きていくの……たぶん無理だ。』


なのに、そんな顔してそんな……悲しい事言わないで?

私は、声を押し殺して泣いている耕平を、ただ見ている事しか出来なかった。

前に例え話でそんな事言ってたよね?

愛してくれてる、それは十分に分かっているけど、後を追うのは愛情じゃないよ?

私は全然……嬉しくないよ。

私は何とかその事を伝えようと、自分が使っていた枕に手をかざして集中した。

まくらーまくらーまくらー!

おっ……嘘でしょ?持てた……

持ち上げることが出来た枕を、耕平に向かって投げつける。


『いって!?』


あ……ちょっと力強すぎたかも?


『真子の枕……?今、飛んできた?……まさかな、倒れてきただけ、だよな?』


耕平は、少しだけ不思議そうな顔をしていたけど、何もなかったように私の枕を頭にひいて目を閉じていた。

集中すれば物が持てるって事を知った私は、二人が寝てる間に琴美のおもちゃを持ってみたり、耕平のやりかけていた玉ねぎを切ってみたりと練習してみた。

まだまだうまくいかない時もあるけど、もしかしたら頑張れば……

琴美を抱きかかえてあげられるかもしれない。

この手で耕平を、抱きしめてあげられるかもしれない。