私が死んだあの日から四日たった。

お通夜にお葬式にとバタバタした日も一段落ついて、琴美と二人、我が家に帰ってきた。

正確には、幽霊のママも入れて三人かな?

相変わらず琴美には私が見えていて、キャッキャキャッキャと私に話しかけてくる。

だけど耕平は、琴美が一人で喋る事はよくある事だと気にもとめていないようだった。


『琴美、そろそろおやつの時間か?』


『やったー!!』


耕平の「おやつ」の一言に、興奮する琴美。


『おやつおやつ……どこにしまってあるんだ?』


琴美は待ちきれず、おやつの入っている扉を叩く。


『ゴメンゴメン、ここに入ってるんだな?琴美ちゃんと覚えてるんだな、えらいな?』


耕平は琴美の頭を軽くなでて、おやつのビスケットを取り出した。

そそくさと手を合わせて食べ始める琴美。


『いただきます言ったか?』


『いたっ!』


琴美はもう一度手を合わせて、私を見上げた。


『食べていいよ!ゆっくり噛んでね?』


おやつを食べてミルクも飲んで、おなかいっぱいになった琴美は少しウトウトし始める。

耕平は、夜ご飯の支度をしていた。


『琴美?ゴロンしながら特訓しようね?』


『ゴローン!』


『パパの名前、何だか分かる?』


『パーパ!』


『パパの名前はコウヘイ!言ってみて?』


『パーパ!』


やっぱまだ無理かな……


『ママがいつもパパに言ってるでしょ?ほら笑って!って。琴美、頑張って覚えるんだよ?』


『って!』


『ほら、笑って!』


『ほっ、って!』


惜しいけどなー!