小さな天使の魔法の言葉ーあなたに贈るラストプレゼントー

『真子、お父さんの事より今は自分の事だよ!耕平君の顔、生きる気力を無くしているね。』


お父さんが耕平の顔を見て、悲しそうにそう言った。

耕平は、人一倍涙もろい。

家族の感動の物語とか、動物の悲しい物語とか、いつも真っ先に泣いては、泣くのが当たり前だといばる。

そのたびに私は「ほら、笑って!」っと、耕平の頬をつねるのだ。




『耕平、また泣いているの?』


『当たり前だ!こんな話、悲しくてもう……』


テレビで放送されていたのは、奥さんと子供が事故に巻き込まれ亡くなってしまったという、ドキュメンタリーのドラマだった。


『もし私が突然死んじゃったら悲しい?』


『悲しいに決まってるだろ!俺も後から追いかけるよ!』


『なーに言ってるの!』


『それだけ愛してるって事!』


もしもの話を真剣に悲しむ耕平は、正直可愛い。

涙もろい耕平を見ると、いつも心が温かくなった。

それだけ、優しいって事だもんね?


『はいはい、ほーら、笑って?』


私はいつものように、耕平の頬をつまんだ。

それを見ていた琴美も、耕平の頬をパチパチ叩いている。


『何だよー二人して!そう言えば真子って、ほら笑ってってよく言うよね?口癖なの?』


口癖って……

それがもし口癖なら、耕平が口癖にさせたんだよ!


『パパが泣き虫さんだからだよねー?』


『ねー!』


琴美と二人で、耕平に意地悪した。


『泣き虫だとー?こういうのを見たら、泣くのは当たり前なの!ったく、そんな事言う奴には……こちょこちょ攻撃だぞ!』


耕平に捕まった琴美が、こちょこちょ攻撃を受けて爆笑していた。

こんな幸せな毎日が、ずっと続くと思っていたよ。

いつも笑いの絶えない楽しい日々が、明日が来るのが当たり前だと思っていた……