小さな天使の魔法の言葉ーあなたに贈るラストプレゼントー

『後悔、してくれてたのか。ありがとう。』


お父さんは、私の言葉に少し照れた表情をしていた。

家族なのに、今まで気持ちをぶつけた事もなかったもんね?

いつもお仕事頑張ってくれてありがとうとか、疲れてるなら無理しないで、とか……

簡単な事さえ、なぜか恥ずかしくて言えなかった。


『お母さんとずっと泣いていたの、そばで見てたよ。笑って欲しくてイタズラしたなあ……』


イタズラって……確かに不思議な事があった。

セットしていないお父さんの時計のアラームが夜中になって、お母さんとビックリしたっけ!

「お父さん、きっといるんだね?」って、ビックリしてドキドキした反面、嬉しかったのを覚えてる。

寂しくて、悲しくて、泣き崩れた夜は、仏壇のロウソクがドロドロに溶けて、まるでお父さんも泣いているようだった。

「泣いてばかりじゃダメだね、ちゃんと生きていかないと……お父さんが悲しむね?」

これをきっかけに、お母さんは泣かなくなった。

私は、一人の時には泣いた事もあったけど、お母さんの前では泣かなかった。

本当はお母さんも、一人で泣いていたと思う。だけど、二人でいる時は強くなれた。

我慢していた訳じゃない、頑張ってるお母さんの為に私も頑張らなくちゃって思ったんだ。

お父さんの為に、笑おうって……


『二人で前を向いて、生きていこうって思ってくれたから、お父さんは安心して成仏出来たんだよ?』


お母さん、ちゃんと気持ち届いてたよ?

今でもお父さん、そばにいるよ?

生きている時は感じたことなかったけど、お父さん、お母さんの事本当に愛してたんだね。