小さな天使の魔法の言葉ーあなたに贈るラストプレゼントー

その日の夕方の全国ニュースで、あの事故の事が放送されていた。


「今日午前11時、65歳男性が乗った乗用車がガソリンスタンドに突っ込み、巻き込まれた30歳女性が死亡、男性は意識不明の重体です。男性は基準値をはるかに超えたアルコールが検出されたもよう。」


アルコール……ね。

飲んだら乗るなってその辺の看板にいっぱい書いてるでしょうが!

あんたのせいであっけなく死んだ私の身にもなりなさいよ!


『まあまあ、そんな恨みたっぷりの顔してたら成仏出来んぞ。』


『そんな事言ったって、こいつのせいで私は……って言うかお父さん、何でいるの?』


『何でって、いつも琴美と一緒に遊んでるもんねー?』


『ねー!』


私の体は、明日のお通夜まで実家でいることになった。

幸い、顔だけはあまり傷ついていない。

本当に、ただ眠っているようにしか見えなかった。

自分の寝顔なんか見たことないから変な感じだけどね、耕平がそう言って、私の頬を触りながら何度も泣いている。


『耕平君……少しでいいから食べてね?琴美も、ごはん食べようか?』


お母さんが食事の用意をしてくれて、琴美は嬉しそうにイスに座った。


『いた!』


『はい、いただきますね?』


『ママ、いた!』


『ママはね、ごはん食べられないからおばあちゃんと食べようね。』


琴美にはなぜか私が見えている。

そして前からお父さんの事が見えていて、よく遊んでたんだって。

時々テンション上がってはしゃいでたのは、お父さんがいたからなのね。

琴美は私を見て、いただきますっと手を合わしていた。

いつも、一緒にいただきますするもんね?

私は琴美の隣にいき、一緒に手を合わした。