ゆっくり、まぶたが上がる。
「大丈夫?あなた、溺れていたのよ。」
髪や睫毛より少し暗い瞳がキョロキョロと動いたのち、私とぴたっと目が合った。
「アンタが助けてくれたのか?」
低く、私たちとは全然違う声。
けれど、とっても通る素敵な声で、こんな人と人口呼吸とはいえ、キ…キ…キスをしたなんて、思い出すだけで耳まで熱くなる。
「そ、そうよ。あなた、人間なの?」
人間がゆっくりと身体を起こすと、目の前のリゼの顎を少しだけ持ち上げた。
「アンタの唇、あったかかったぜ。」
「なっ…!」
かああ、と全身まで火照りが渡る。
私が何も反応できないでいると、人間はゆっくりと唇を近づけてきた。
「だっ、だめーーーー!」
私は気づくと人間を押していた。
「だ、だめなのよ!そういうのは、結婚するまでだめなのよ!」
「お硬いな…、まだこういうの経験なかったのか?」
「ないわよ!!」
全然元気じゃないの、助けて損した気分だわ。
しかも、とってもとっても失礼。
私は海に逃げるように入った。

