俺じゃない方が

「離してよ!! まだ答えてもらってないんだから!!」


「……」


「カナタ……。何で言わなかったの?」


「……」


「シノおばあちゃんに“俺はコウヤじゃない。俺はカナタだ”ってどうして……」


「言ったよ!! 今まで何十回も何百回も言ったよ!! でも、言ったってばあちゃんは俺をコウヤとしてじゃなきゃ認めてくれなかった」