「ねえ、このひとだれ?」


アルバムをめくった手が止まるのと同時に、膝の上から舌足らずな声が聞こえた。


その頭を優しく撫でると、「ママ?」と不思議そうに首を傾げられる。


「…満はパパが好き?」


「だいすき!どうして?」


「ううん、聞いてみただけよ。これは、パパなの」


えっ、と娘の口が止まる。


満は再び写真を見つめると、かわいい笑みをいっぱいに浮かべた。


「パパ、かっこいい」


「人気者だったのよ?パパはモテモテだったの。ママはね、ちょっとぽっちゃりしてて、スタイルはよくなかったの。でも、パパは私を選んでくれた」


「へえ、そうなんだ。あ、でもパパは見た目とかで選ぶ人じゃないよ。パパは優しいもん」



一生懸命に説明する満は、とてもかわいい。


頬を撫でると、くすぐったそうにし、満はあっと叫んだ。


「パパ帰ってきたー」


ガチャ、とドアが開く音。



「パパーおかえりー!」



駆けていく娘の姿を見つめながら、私はそのあとを追いかけていった。