ベンチに陽菜を座らせて
「陽菜ちゃん、とにかく冷やしな」
悠がハンカチを濡らして陽菜に渡す。
ハンカチを目元にあてて
「悠ちゃん、ありがとう。千恵ちゃんも千葉さんもありがとうございます」
「陽菜ちゃん、その腕」
片桐先輩が陽菜の腕を見て叫んだ。
その声に反応するように陽菜の二の腕を見ると
「陽菜!その傷」
血は止まってはいるが掠り傷が何ヵ所か。
「あ、うん。カッターナイフで脅されてあの部屋に連れ込まれた。大声を出そうとしたんだけど脇腹に一発入れられて声も出せなかったの」
「あの野郎!」
俺は拳を握りしめた。
「監督、これはもう僕達だけで収まる話しじゃない。やはり警察に」
森野さんの顔も怒りに染まっている。
千葉先輩の友達だけあって正義感が強いんだろう。
「そうだな。だがその前にもうちょっと詳しく話してもらえないか?」
陽菜が監督と森野さんを見て、一瞬顔がひきつる。
「陽菜どうした?」
俺にピタッと引っ付き
「お、お兄ちゃん、この人達は?この制服アイツの部屋に…」
森野さんの着ている制服にアイツを思い出したのか。
「大丈夫だ。アイツとはなんの関係もないから。な」
「う、うん」



