ーー1年前
私は暴走族の総長と付き合っていた。
荒井朔(あらいさく)。
全国No.5まで上がってきた「白虎」の総長。
喧嘩のことになると怖かったけど、私のことをすごく大切にしてくれた。
そんな朔が大好きで、ずっと一緒にいたいと思うようになった。
でも
あるときから
朔は変わってしまった。
全国No.1の「青龍」がバックについている暴走族、「雷」と喧嘩になって「青龍」とも戦わざるを得なくなった。
結果は惨敗。
死者はいなかったものの、全員が骨折、ヒビ、脱臼...
全員が全員、2ヶ月は安静にということだった。
「そんな結果になったことは俺のせいだ。」
1番ひどい怪我をしているのに、朔は自分を責めて、不良たちに喧嘩を売るようになった。
朔はもちろん勝つけど、その度に苦しそうに顔をしかめていた。
ある日、たまり場に行くと久々に朔がいた。
「朔!今日は街に出ないの?」
「あぁ。今日は理紗とメシでも行こうと思ってな。」
「本当?やった!今日は朔の奢り?笑」
「まじか笑 んー、どうしようかな」
「お願い!」
「しょうがないなー」
「やったね!」
「ほら、行くぞ」
「はーい!」
朔と私は歩いて行った。
でも、いつものお店とは逆の方に行ったから心配になって、
「どこ行くの?」
と声をかけた。
「いい店見つけたんだよ。
そこにしよう。」
「...うん、わかった」
最近、朔が何を考えてるんだか分からなくなる時があったから、心配だった。
その心配は私の身が心配とか、そういう心配じゃなくて、
朔が前みたいに楽しそうに、楽しくてたまらないというように笑えるのかとか、
そんな心配だった。
でも、そんな心配は無意味だと実感される__________
