大好きだけじゃ足りない。


そんなことを考えていたらあっという間に夜中の1時になってしまった。


ーーそろそろ出るか。


サルエルパンツに軽くパーカーを羽織る。

腰の辺りまで伸びている髪をとかしてライトにかざしてみる。


陽のあたる角度によって色が変わる。


私の大好きなこの色。


私が持っているもの唯一のお母さんの形見。


無理矢理母親に切られてから切っていない。


お母さんとの繋がりはこれしかないから。



音が聞こえないように、そーっと下に降りていく。


よし、誰もいない。