店長とお母さんは一緒に映画を見に行ったり、ご飯を食べたりしただけで、それ以上の事はなにもなかったらしい。
お母さんの居場所も知らないと言う。
いかにも嘘くさい笑顔を私は信じる事にした。
それは、店長の左手薬指に結婚指輪がはめられていたから。
きっとこの人は家族のために毎日笑顔で頑張って働いているのだろう。
それに、ダブル不倫なんてふたつの家庭を壊すような事態には陥らないと思った。得るものより失うものの方が大きいのだから。
家に帰り、お父さんに私が感じた事、ありのままを話した。
普通預金は全て引き下ろされていたそうだ。
でも定期預金は解約されていなかった。
お母さんにも罪悪感のようなものがあって、それが解約を止めたのだろう。


