重なり合う、ふたつの傷



調味料は天野くんのうちにあるだろうから。

他には、えーっと。

私は英語のプリントの裏に、ひき肉、玉ねぎ、卵、パン粉、鮭、ツナ缶……、と、夕ご飯に必要な食材を書き出した。


そうだ、明日はお弁当も作ろう。


今日のお昼は、私はコンビニのサンドイッチで天野くんは購買のパンを買っていた。二人分のお弁当の材料も買わなくちゃ。


なんてやっているうちにチャイムが鳴った。

授業は全く聞いていなかったけど、まあいいか。

私は『スーパーで買う物リスト』を書いた英語のプリントを綺麗に折り畳んで、カバンのポケットに入れた。




帰りのホームルームも終わり、やっと天野くんのうちに帰れる。


そんな、にやけた私の頭を誰かがぽんぽんした。


「ほら、帰んぞ」


「ふへっ?」


見ると、そこには天野くんがいて。

ひゃー、一緒に帰るって事?


そういう事?



私は、自分の顔が真っ赤になっていくのが鼓動と血管を通して伝わってきた。


「うっそ!! 梨織、なんで? どういう事?」


部活に行こうとしていたルミが足を止め、驚いた様子で目を丸くしている。


「後でメールする」


私はそう言うと、天野くんの手を引っ張るようにして教室を出た。