重なり合う、ふたつの傷



翌朝、窓から射し込んできた日射しで目が覚めた私。


まだ眠っていた、まぶたをこじ開けた。


私の部屋は遮光カーテンだから、こうやって朝日で目覚めるのは新鮮な気持ち。でも自分の家にいる時の私という存在に朝日は似合わない……。


ケータイを見ると、六時半。


まずい、もう出なくちゃ。


私はまだ寝ているであろう天野くんを起こさないように家を出た。


昨日は暗くて見えなかった多摩川がよく見える。


さらさらと旋律を奏でながら流れていて、思っていたよりも遥かにきれい。


野鳥もいる。


土手をジョギングしている人と擦れ違う。


初対面なのに軽く会釈をされたので私も頭を下げた。


清々しい気分。


『すぅーはぁー』と深呼吸。

そういえば、最近、溜め息しかついていなかったな。


もう少し眺めていたいけど、時間がない。