重なり合う、ふたつの傷



スクランブル交差点を擦り抜け、二人で『ラーメン魂』というお店へ入った。

ラーメンなんて久しぶり以上の久しぶり。

最後に食べたのは、多分、小学生の時。お父さんと遊園地に行った帰り。

そうだ、あの時だった。おばけ屋敷に入ったの。お父さんも怖かったなんて、今考えるとおかしい。楽しい気持ちになれる。全然、怖くなんてない。

思い出しながらカウンター席に座る。

零士が味噌ラーメンを頼んだから私も味噌ラーメンにした。


「オレ、札幌出身だからさ、ラーメンといえば味噌なんだ」


「いいなー。私、北海道、行った事なくて」


「夏でもさ、恋しくなるんだ、雪が。もし行く事あったらうまいラーメン屋教えるから」


「うんっ。ありがとう」



「あいよ」おじさんのその声と共に目の前に出された味噌ラーメンにはコーンとバターが乗っていて、スープにすごくコクがあって、おいしかった。麺をすする度にスタミナがつきそう。


「明日も今日と同じ場所でライブあるんだ」


「じゃあ明日も行きます」


「おう、待ってる」


その言葉が嬉しかった。こんな私でも待っててくれる人がいるんだと思うだけで気分が晴れた。