親も子供を選べないけど、子供も親を選べない。

生まれてきてみなければ自分の親が虐待するかどうかなんてわからない。

お腹の中にいる時には、きっと幸せになれると思い込んでいる。そして生まれてくるのだ。

悲劇が悲劇を呼び寄せる。


「狭いけど、入って」


「うん。梨織、膝っ! 擦り向けてる。そーだ、絆創膏持ってるんだった」


ルミはカバンからリボン柄の絆創膏を出した。


「バスケ部だった頃にね、もし佐伯先輩が転んでケガしたら、ルミがすぐに絆創膏持ってって貼ってあげようと思って。入れっぱなしだったんだ。もう必要ないのにね」


そう言いながら私の膝に貼ってくれた。


「それと、ケーキとか買ってきた時に入ってる保冷剤ある?」


「冷凍庫にいくつかあるよ」


ルミは冷凍庫を開けると、保冷剤を取り、それを自分のタオルハンカチに包んで私の目に当ててくれた。