ノラ猫

 
「言っとくけど、ペットとか、そんなふうに思ってねぇから」
「……」

「性格が猫みたいってこと。
 ワガママ猫。甘えた猫」

「何、それ……」

「そうだろ?」


俯くあたしに、顔を覗き込んで様子を伺われる。


あ、今、顔見られるの嫌だ……。


「照れてる?」
「照れてない」
「照れてる」
「違うって」
「可愛い」
「……」


甘すぎる台詞。

この人は、人に対して、そんな日常茶飯事に「可愛い」だなんて言葉を言うの?


「ほんと……なんでだろうな……」


ふと、智紀の顔が真面目な表情へと変わった。

そっと触れてくる、温かい指先。
さわさわと頬を撫でた。


「ただのノラ猫を拾っただけだと思ってたのに……」


真っ直ぐと見つめるビー玉の瞳を見返すと、トクトクと鼓動が高鳴っていく。

逸らされるのが許されないんじゃなくて……
逸らしたくない綺麗な瞳。


「守りたい女の子になってる」

「……」


言葉で
あたしの体温はどこまでも上昇していくようだ。