ノラ猫

 
ニヤニヤと笑いながら、電話口の相手に人をからかうようなセリフを言ってる。

よく分からなくて…
なんだか妙にくすぐったいような感覚が襲ってきて……


「いって!」


思わず、隣の智紀の腕をつねった。


《どした?》
「いや、なんでもない。
 っつーわけだから、もう切るな」


そして智紀は、ようやくその電話を切った。


「凛ー、痛いんですけどー」
「……知らない」


自分でつねった意味も分かってない。

だけどニヤニヤと笑っている智紀に、なんだか腹が立って悔しかったんだ。


「りーん」
「……あたし、猫なの?」


今あった会話の内容。

「凛」という名前を出されてないけど、多分それはあたしのこと。


「そう。猫みたい。
 自由奔放に生きて、なかなか人に心許さなくて」

「……」

「でも懐いてくれると、すげぇ可愛いのな」

「……」


だから……
そんな簡単に人を「可愛い」だなど言わないでほしい。