ノラ猫

 
一人黙々と料理に手をつけ、智紀の電話が終わるのを待つ。

ちらりと智紀の顔を見ると、それに気づいてバチッと目が合った。


「悪い、雄介」


その途端、電話口の相手に謝る。


「ちょっと猫が拗ねてるから、また今度でいいか?」


え?


そんな台詞を吐いていた。


《は?お前、猫なんて飼ってたっけ?》


受話器越しに、向こうの声が聞こえて、同じように首をかしげて智紀を見上げる。
智紀は面白そうにあたしの頬を撫でると、


「ああ。この前、ノラ猫拾ってきた」

「……」


そう答える。


《何だよ、突然!ノラとか言って、懐かせんの大変だったんじゃね?》

「ああ、マジ大変だったな。
 最初は全然心開いてくんねぇし、勝手にどっか行っちゃうし…ほんと世話がかかった」

《だよなー》



「けど、やっと最近気を許し始めてくれてさ…

 今は、すっげー可愛い」



……。


なんかもう……
よく分からない感情が次々芽生えてくる。