お金に余裕があることから、気まぐれのようにあたしを引き取ったおじさん。
独断で決められ、不満をもらすおばさん。
養子として引き取られ、あたしの名字は、大倉凛から、神楽坂凛となった。
養子になっても、お父さんやお母さんと呼ぶことは許されない。
ただ生活空間と、食事を与えられる家庭。
嫌なことがあれば、おばさんはあたしに当たることも多かった。
冷たく……
寂しい家庭環境。
だけど唯一の救いとなったのは、
《凛、俺のおやつわけてやるよ》
《ありがとう……》
神楽坂の息子、悟の存在だった。
小さくうずくまるあたしを、いつも気遣ってくれた存在。
彼だけが、あたしを家族として迎え入れ、「にいさん」と呼ぶことを許してくれた。
《にいさん、にいさんっ……》
《なんだ、凛》
まだまだ希望はあると、あたしは義兄さんに懐いていた。
だけど……
《凛、ちょっとこっちおいで》
《え?》
中学2年に上がる頃から
それは少しずつ、崩れ始めた。

