ノラ猫

 
流れてくる讃美歌。
一緒に歩んでくれる父親はいないけど、目の前に愛しい人が待ってくれているだけで足は進む。


リハーサルも何もしてないから
歩き方もこれで合っているかさえ分からない。

だけどそんなこと、指摘する人は誰もいなくて……。


「……」


差し出された手に、あたしはようやく自分の手を絡ませた。


「やっとたどり着いた……」
「待ちくたびれたし」
「だって……」
「だけど予想以上に綺麗だったから許す」
「……」


小さな声で囁かれて、返す言葉も見つからない。

牧師さんだけには聞こえていたみたいで、そんなあたしたちを見て微笑んでいる。


そして牧師さんの言葉が始まって
智紀と二人でその姿を見上げた。


「新郎…横川智紀
 汝、健やかなる時も病める時も、この者を敬い慈しみ
 その命の限り愛することを誓いますか?」

「誓います」


「新婦…神楽坂凜
 汝、健やかなる時も病める時も、この者を敬い慈しみ
 その命の限り愛することを誓いますか?」

「はい…誓います」


自分には一生縁がないと思っていた誓いの言葉。

今、最愛の人を隣にして
あたしは永遠の愛を誓った。