ノラ猫

 
「行こう」


凛は隣の男に声をかけると、俺に背を向けて歩き出した。


遠ざかっていく背中。
振り返りもしない。


このまま本当に、終わってしまう?
今追いかけなければ、きっともう二度と会えない。


身勝手なのは分かってる。

けど……


「ちょっ……」
「おいっ!!」

「……っ…」


俺は凛の腕を掴んで、反対方向へと走り出した。


「な、にすんのっ……」
「うるせぇっ……。今は黙って走れっ……」


後ろから、男も追いかけてくる。

それに捕まるわけにもいかない。
あの男に捕まったら、凛はきっと……



「いい加減にしてっ……!!」



無我夢中に走り続けて
ついに凛が俺の手を振りほどいた。