「……と、もき……」
「どうした?」


夜になって、電気を消してからリビングへと戻った。

寝るときはいつも、あたしがベッドに寝て、智紀はソファーで寝ている。

最初の一回以来、智紀があたしに手を出したことはない。
両想いになってもそれは続いていて、キスはするものの、体を求めてくることはなかった。


きっとそれは、智紀なりの気遣い。
男の人に抱かれることに抵抗を抱いているあたしへの優しさ。


怖くないと言えば嘘になる。
それでも相手が智紀なら……


「一緒に……寝たい」


もう一度、人の温もりが欲しいと感じる。


「………行こう」


智紀もあたしが考えていることを察して、何も聞かずソファーから降りた。

あたしの手をとって、もう一度寝室へと戻っていく。

電気はつけず、月明かりだけのまま……。
優しくあたしをベッドへと倒した。



「怖い?」
「………少し」
「ちゃんと俺を見てろ。
 怖くなったら目を開けとけ」


そう言って、優しく唇を落とした。