「それであたしの服は?」
「そこ。もう乾いてんじゃね?」


クイと顎を向けた先に、クローゼットの淵にハンガーでかけられた自分の服。
それを目指して、ベッドから降りようとした。


「何やってんの?」
「着替えようかと。これ、あなたのでしょ?」


胸元で握って示す、自分の来ている白のTシャツ。
男物で、肩が出てしまいそうなほど、ゆるい。


「そうだけど……。っつか、熱下がったの?」
「わかんない。でもこれ以上迷惑はかけらんな……っ!?」
「おいっ!!」


一刻でも早く立ち去ろうと、立ち上がって歩みを進めたら、途端に足がもつれた。

倒れこむ寸前のとこで、彼があたしの体を支える。


「全然熱下がってねぇじゃんかよ!早くベッドに戻れ!」
「で、も……」
「ったく……」
「ちょっ……」
「手間かけさせんな」


彼は、軽々とあたしの体を持ち上げると、せっかく抜け出したベッドへと再び戻してしまった。


「寝ろ」
「だ、けど……」


「べつに迷惑とか、思ってねぇから」


続けようとした言葉を遮られ、
自分が気にしていた一言で返された。