誰かに夢中になるとか、そんなことがダサいと感じていて、
一人の女に夢中になるくらいなら、カメラに打ち込んでいたい。


それが俺の生き方で
これからもずっとそう生きていくと思ってた。



(なあ、風邪ひくよ?)



そう言って、
一人の女の子に声をかけるまでは……。


夜の公園。
大雨の中、スポットライトを浴びるかのようにベンチに座りつくす彼女。


パッと見は不気味で
だけどそれ以上に何かを惹きつけている。


こんな大雨の中、傘も差さずに座り続けている彼女が気になって、
興味本位で近づいた。


声をかけられ、ゆっくりと顔を上げた彼女の瞳を見て、衝撃がはしった。


氷のような
冷たい瞳。

何も映していない、世界を拒絶している。


案の定、彼女は俺の誘いには乗らない。
拒絶する彼女が、余計に気になって、このまま放っておけなくて、なかば強引に連れて行こうと思った。


だけど触れた彼女の体温は、考えられないほど熱くて……


(っつか、お前、すげぇ体熱いじゃんっ。
 ほんと何やってんだよ!)


思わずこっちが取り乱してしまうほど、高熱だということが分かった。


そのまま彼女は気を失ってしまって
俺はびしょ濡れの彼女を自分の家へと連れて帰った。