────俺は、戻りたいなんて思っていない。
でも、でも…。
「俺の話し聞いて」
俺と、菜々子が出会ったのは、一年前の入学式。
「おい、淳!」
「ん?なんだよ」
俺には、よく女がよってくる。
しかも、よってくる女は皆ケバい化粧をしてスカートが気持ち悪いぐらい短い奴らばかり。
そんな生活には、飽きていた。
退屈していたんだ。
「なんかさ、1組に超美人な子いるらしいよ!!」
親友の、佑哉がそう言いながら俺を1組に連れて行った。
1組には、人だかりがたくさんできていた。
しかも、男ばかり。
「俺、興味ねぇしー…」
「まあまあ!そう言わずに見てみよーぜ!」
「ったく…」
仕方なく、人だかりをかき分けて
その美人とやらを見てみた。
「っ…………………」
「うわあ!!!予想以上に美人すぎるぜ!!!」
言葉も出なかった。
一瞬にして心を持ってかれたんだ。
それくらい、その子は美しかった。
「隣にいる子もレベル高くね?!!」
隣にいる、子もその時の俺には見えていなかった。
少し明るい茶色のかかったセミロングの髪に大きい目が印象的だった。
気づいたら、その子の方に足が歩いていた。
「え、ちょっ、淳?!お前なかなか…」
その子の前に立つと、その子は、大きな目を更に見開いて驚いた顔をした。
その顔も、とても可愛かった。
「名前、なんていうの?」
気づいたらそう聞いていた。
「えっ…?」
「な・ま・え。教えてよ」
その子は、少し考えて口を開いた。
「木下…菜々子……ですけど…。」
(木下…菜々子…)
「菜々子…って、呼んでいい?俺、淳。横山淳。淳って呼んでくれていいから。」