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「菜々子!」
「菜々子大丈夫か?!」
この声は…
「…お姉ちゃん…お兄ちゃん」
「あ、起きた」
「いや、起きるでしょ」
「てか、俺らが起こしたんだよ」
「あんた、俺らがって、何だよ」
何故か、私が起きると
変な喧嘩が始まった。
台所をチラッと横目で見るとお母さんは
「面白い喧嘩なんだからほっときなさい」
と言っているような顔で私に笑いかけた。
私も、思わず笑みが溢れた。
「は?あ、なら亜沙美が?」
「は?亜沙美が?じゃないわよ」
亜沙美っていうのはお姉ちゃんの名前。
お兄ちゃんの名前は、健也。
「何、お前は俺だけのせいにしてんの?」
「うん」
「クソ野郎!」
「何だって?」
「……クソ…はいはい、悪かったですね」
すごく、くだらない喧嘩は終わったみたい。
お姉ちゃんとお兄ちゃんでは、一つだけだけど年が違う。
この、喧嘩の結末を見たらわかると思うけど、まあ、お姉ちゃんが上。
結局、お兄ちゃんはお姉ちゃんには叶わないってわけ。



