「…あんた、何のつもり？」
「……ほっとけ」
「は？」
「こっちにも、事情ってのがあんだよ」
「事情？そんなもの、関係ないわ」
「お前には、分からねえかもな。」
「…でも、あんたは菜々子の彼氏だよ？なのに、他の女と…。しかも、梅本さんと…」
「……彼氏っつっても…偽だろ？」
ｽﾞｷﾝｯ…
その言葉を聞いた瞬間胸が痛かった。
偽…。
そうだけど…。
「で、でも…」
必死で
みどりは何かをいおうとしてくれてる。
「…もう、いいよ。みどり…」
私は、もう無理だと思った。
きっと、拓海も自由になりたいんだ。
そう。偽彼氏なんて疲れるよね。
拓海だって、恋したいしね。
私なんかの偽彼氏なんて…。
「え？ちょっと、菜々子…」
私は、みどりの手を掴んで教室へと歩いた。
正直、涙が出そうだったけど
ひっこめた。
