淳は、私に気がついたのか
振り返って目が合ったがすぐに目線をそらした。
なんで?
なんで来てんの?
嬉しいというより、拓海の方に気持ちが寄っている今。
淳を見たくなかった。
お互いに黙り込んでいると買い物からお母さんが帰ってきた。
「あら?淳くん?」
付き合ってた感があったころ、何度も淳を家に呼んでご飯を一緒に食べていたから、お母さんは淳をしっている。
しかも、お母さんは淳をだいぶ気に入っている。
「あ…お久しぶりです」
ここにきて、初めて淳が言葉を発した。
「菜々子!淳くんも!さっ!入りなさい!
今日、すき焼きだからちょうどいいわ!!」
そう言いながら一方的に何も知らないお母さんは私と淳を家に入れようとする。
「お母さん、いいから…」
「何言ってんの?!久しぶりなんだからいいじゃない!!」
「ちょっ…………」
私の意見も聞かずにお母さんは淳を連れて家に入ってしまった。
「ありえない………」



