この空の下で


「お疲れ様です。
西山さん体調大丈夫ですか?
明日は出勤出来そうですか?」

「お疲れ様です。
だいぶ良くなったので、
明日は大丈夫だと思います。
どうしましたか?」

いつも冗談ばかり言っている人なのに、
切羽詰まった感じに、
何かあったのだと思った。

「あー。良かった。
あの俺、今やってる企画書を、
西山さんにお願いしたのと、
一緒にしなきゃならなくて、
明日、持って来てもらえます?
明日までに、
どうにかしなければならなくて。」

「あ!
すいません。忘れてました。
今日やって、明日持っていきます!
ごめんね。」

電話を切った後に、
重大な事に気付いた。

金曜の夜、
パソコンを持って優の所へ行った。

そのまま優の所へ戻る事なく今に至る。

ヤバい。
どうしよう。
携帯も変えてしまった。
いや、その前に連絡先消しちゃったか。

USBも優の所にある。
パソコンも優の所。





取りに行くしかない。

30分以上経ってから、
あたしはメガネをかけ、
帽子を深くかぶり、
大きく息を吐いた後、
玄関に鍵をかけた。