吸い込まれそうなほど大きな桜の木を見ていると、ふいに、ぽろり、と涙か一粒こぼれおちた。

「ダメ。泣いちゃダメ。」

指で涙をそっとぬぐう。

拓実が、藤村拓実が、生きていた頃、私と拓実はなんどもこの場所を訪れた。

ーーーそして、ここは、私が拓実に告白された思い出の場所である。