生暖かい感触。

そして、それはだんだんと上へと向かってきている。

(え…。これってまさか、まさか…。)

新年度早々、痴漢に出くわしてしまった。

(どうしよう、どうしよう。気持ち悪いよ…)

そんな思いとは裏腹に、痴漢の手はぬるぬると動き続ける。

(どうしよう、どうしよう…。)

その時、
「おい、おっさん。」

車内に、低い声が響き渡った。