「愚かな……生物など…また生まれる……新しい生物……」

山根は原子炉に向けて、手を伸ばした。

「あり得ないわ。放射能に汚染された…世界に、生物が生まれるはずがない!」

千秋は左腕を抜くと、刃のように鋭くなった手の爪で、山根の首を跳ねた。

転がる山根の頭を確認すると、千秋は片膝をついた。

血を流し過ぎた。

もう…助からないことに、自分でも気付いていた。


擦れていく…千秋の目が、原子炉の中で動く…小さなものに気付くはずが、なかった。


それは、まだ…命とはいえなかった。