天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

再び魔物達が、ミサイルに格闘している隙に、

僕は奈津子のもとへ走った。

抱き上げ、もう冷たくなった体を抱き締めた。

「畜生…」

僕は、回復系魔法を使おうとしたけど、ポイントが足りない。

「どうして…」

抱き締める僕の服に、奈津子の赤い血がつく。

止めどもなく、流れる涙を拭うことなく、泣き続けた。

「どうして…彼女が死ななくちゃ…ならないんだ…」


「それは、君のせいだ」

「え?…」

僕が顔を上げると、男がそばに立っていた。

男は僕を見ないで、魔物達を見据えながら、

「彼女が死んだのは、君のせいだ。君が弱いからだ」

あまりにも、ストレートな男の言葉が、僕の心を切り裂く。

情け容赦もない。

確かにそうだが、見も知らない人に言われることではない。

顔を上げ、涙を流しながら睨む僕を、

男は無視して、

「コールド・スリープ」

奈津子の体が光に包まれ、

血が止まり、服の汚れが消える。

驚く僕を、やっと男は見た。

「異世界から来た君は…本当は、強い!それなのに、心が弱い君は…戦うことを恐れている。だから、こんなレベルなんだ。そんなざまじゃ…誰も、助けられない」