天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

「殺すなといっただろ…」

呆れる魔物に、奈津子を殺した魔物が肩をすくめた。

「あんなに、脆いとは」


「うわあああ!」

倒れた僕の目の前に、Tレックスもどきの口が迫る。

鋭い牙が、恐怖を煽る。

吐く息が臭い。

思わず、目を瞑った僕の耳元に、爆音が響いた。

奇声を発しながら、Tレックスもどきは吹っ飛ぶ。

「ミサイル!」

驚く魔物達にも、ミサイルは降り注ぐ。

「何者だ」

魔物達は飛び上がり、ミサイルを避ける。

しかし、ミサイルは追尾型だ。

「チッ」

魔物は舌打ちすると、空中で旋回しながら、手から電撃を放ち、ミサイルを破壊した。

ミサイルは、倒れたTレックスもどきにも降り注ぎ、爆発した。

爆風で、僕は目が開けられない。

追いかけてきたすべてのミサイルを破壊し、地面に降り立った魔物達は、草原の向こうを睨んだ。

街とは、反対方向…魔物テリトリーから、

硝煙の匂いとともに、こちらに歩いてくる……1人の男。

黒い上下のスーツに、サングラス。

スーツの上に、装着されたミサイル・アーマー。

米軍が着けていたのと、同じタイプだ。

「ファイヤー…」

男は呟くように言うと、左手と背中のミサイルポットが開いた。