数日後…雄太と翠の住むマンションが火事になった。

仕事を終え、帰宅していた雄太は、帰る場所が燃えていることに気付き、

慌てて走って、家に急いだ。

何と、翠が逃げ遅れて、部屋に取り残されているというではないか。

雄太は、消防士を振り切って、マンションに飛び込んだ。

よかったことに、まだ火の手が遅く、マンションの階段に炎は回ってなかった。

二階の自分の家に、飛び込んだ雄太は、扉を開けると、

飛び出してきた翠に、抱き締められた。

「翠…よかった」

雄太も翠を、抱き締めた後、


「早く逃げるぞ!火の手が回らないうちに」

翠を連れ出そうとする雄太に、翠は首を横に振った。

「いいの…。あなたは、逃げなくても」

「何を言ってる!火の手が回らないうちに……!?」

雄太は絶句した。

「大丈夫!火の手は、あたしだから」



翠の体が、燃えていたのだ。

いや、炎そのものになっていた。

「今のあなたが、いなくなるなんて嫌よ!」

翠は、雄太に抱きついた。

「あなたは、一生…今のままでいて…」

翠は、雄太を抱き締めた。

「ぎゃあああ!」

雄太の叫びは、炎の燃える音にかき消された。