自由の女神が、氷づけにされ、

その天辺で、羽を休めているのは……

海の女神…マリーである。

下半身は鱗に覆われ、

それだけ見れば、人魚に見えるが、

背中から生えた蝙蝠の羽と、妖しく光る赤い目が、

彼女が、バンパイヤであることを示す。

女神像の上で、マリーは食事中だった。

自らを抱くように閉じた羽から、人間の女の子が墜ちていく。

ぐちゃ。

嫌な音がして、地上に激突し、潰れた。

「もう入らないわ」

満足げに、軽くゲップをするマリー。

自由の女神像の周りには、マリーの食事の後が転がる。

その数…数百人。

「食後の運動でもしょうかしら」

マリーは、女神像から飛び立った。

洪水から、一気に凍らされたニューヨークの街並みは、

氷の中で溺れた姿のまま凍りつく人々。

逃げようと、マシーンを召還したが…間に合わず、凍りつく人。

ペットの犬たちや、車や…木々達…すべてものが、氷のオブジェと化していた。

マリーは笑いながら、ビルの間の滑走し、

やがて…天に昇る。

そして、上空から凍り付いたニューヨークに向かって、数万という氷柱を降らした。