天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

尻餅をついたアルテミアの横に、アルテミアの蹴りによって、破壊されたディグブレイドが、転がっていた。

昆虫のような目が点滅し、腕をばたつかせ、もがくディグブレイドの中から、声が漏れてきた。

「助けて……お母さん…」

その声を聞いた時、アルテミアの動きが止まる。

「甘いわ」

レイラの槍が、ディグブレイドに突き刺さった。

「ちゃんと殺してあげないと…苦しめるだけよ」

レイラの言葉に、絶句したアルテミアは、まじまじとレイラの顔を見た。

(この人は……お母様じゃない)

すべてのものを慈しみ、優しく、強い……勇者。

(お母様じゃない)

アルテミアは立ち上がり、殴りかかる。

レイラは、無防備に立つ。

アルテミアの拳は、レイラを殴っているはずだった。

ぎりぎりのところで、震える拳が止まっていた。


「あなたは、何をやりたいのかしら?人の言葉に揺れ…目の前にいる敵に、攻撃もできない……」

レイラは、ため息をつくと、

「ほんと……つまらない相手…。こんなものの為に、あたしは蘇ったなんて」

レイラは、槍から剣に変え、

「もう死になさい」


アルテミアは動けなかった。自分に絶望し……攻撃できない自分が悔しかった。


レイラは、剣を大袈裟に振り上げると、一気に振り落とした。

誰もが、終わったと思った瞬間。


「まだ…抵抗する意志は、残ってるみたいね」

レイラの剣を、アルテミアの右手に装備されたドラゴンキラーが、受けとめていた。

「いつのまに…装備した!」

「え?」

アルテミアは、虚ろな瞳で、自分の右手を見た。

「ロバート……」




「しかし!これは、最後の悪あがきみたいね」

ドラゴンキラーに視線をやったアルテミアの隙をついて、

レイラは剣を跳ね上げると、手を持ちかえ、今度は下段から、剣を切り上げた。